Abduction

ミッシングID

マッチョではあるが普通の高校生が自分の出生に疑問を感じた瞬間から、父母が殺されてしまう。その裏には例によって国家機密が!という安直と言えば安直なストーリー展開ではあるが、前振りの「普通」の高校生部分を丁寧に描いているのが功を奏しているのではなかろうか。
予備知識なしで観ていると、青春ラブコメかいな?と思ってしまうかもしれない。学校の宿題で出された自由研究でネット検索をしたことにより、自分が誘拐された子供だったのでは?と疑問に感じたことで急転直下に物語が転がり始める。
まあそういう偶然もあるだろうが、この悪人たちはエライ悠長な人たちですな。100%受け身な捜索方法ですぜ。そんなショボい罠をネット上に仕掛けて、あとは待つだけとは一生進展しないかも知れんで。
とツッコミを入れたくなるが、この急展開ぶりがなかなかよろしい。
いわゆる「CIAの陰謀」説を地で行く描き方も面白い。ビッグブラザーのお出ましだ!と言わんばかりに何もかもが筒抜けなのが理屈無視な気もするが、ここまでやってくれると気持ちが良い。
と、敵に幾度も追い詰められても必ず切り抜けることができるのはお約束として構わないんだけど、どうせなら最後には友人とタッグを組んで敵をギャフンと言わせるような仕掛けをかけて欲しかった。
あの解決方法ではちょっと尻すぼみな終わり方に感じてしまうのだ。邦題にもなっているIDカードを偽造できる友人を結構フィーチャーしているので、それを使ったアイデアで一発逆転…てなことを期待していたんだけど、その伏線は投げっぱなしで回収されることがなかったのが残念だった。
»»鑑賞日»»2020/03/31»»U-NEXT
Abduction

原題である「Abduction」の意味は「拉致」ということで、日本社会に於いてはなかなかインパクトの強い題名だった。

●原題:Abduction
●制作年:2011
●上映時間:106min
●監督:ジョン・シングルトン
●キャスト:テイラー・ロートナー/リリー・コリンズ/シガニー・ウィーバー
●お薦め度:★★★