AUTOMATA

オートマタ

なんかイマイチっぽいとの噂だが借りてみた。
この期待しないのが結果的に良い効果を発揮したパターンだった。

スペインとブルガリアの合作という異色の作品だ。ご多聞に洩れずかなり低予算風なテイストだが、そんなことは気にならない。
登場人物少なめというのも最早お約束で、アントニオ・バンデラス以外はほぼ誰も知らん。バンデラス自身さえも、事前情報を入手していないと判別がつかん程だ。というのも主役は表題通り「オートマタ」つまりここではロボットと訳されていた者たちだからだ。
ヒューマノイドでもアンドロイドでもない、ロボットなのだ。大きな厄災があり人口が激減した世界でピルグリム(希望)という名前を与えられて誕生したロボット達だが、その本来の目的には失敗し、溶接工とか家政夫とかエッチ担当とか野良ロボットとかがウヨウヨしている世界。
基本的な外見は全部同じで顔部分も普遍的なデザインを採用しており、表情というものはないんだが、「よつばと!」のダンボーと同じく、頭部の角度や体全体のポーズによって、なぜか表情を感じるから不思議だ。
エッチ担当だけはどうも闇商売らしく、かなり金をかけて改造しており顔は人間っぽくしているが、それでもマネキン程度に留まっている。
そんなロボット達だが、どうもCGではないらしい。着ぐるみでもないらしい。あくまでも想像だけど、どうやら本当に二足歩行できる個体を作って撮影している風に感じられるのだ。となると低予算だなどとは呼んではいけないことになるんだろうが、「ショートサーキット」では予算の殆どを実働するジョニー5に注ぎ込んだとのことだから、時代が違うとはいえ莫大な予算が必要になる。
ロボットのテイストが似ている「チャッピー」の製作者に教えを乞えば、かなり節約もできそうだが、そこんとこは全く想像妄想の域を出ない。
そんなこんなで自分が本作に感銘を受けたのは、この滑らかな動きをしない、あくまでもカクカクした動きをする如何にもなロボット達なのだ。

お話としては、アイザック・アシモフだかが提唱したロボットの二大原則を巡る攻防といったところで、多分にミステリー要素を含んでいる。ツッコミ所満載だし、結末も曖昧なような「それでどうすんの」と思ってしまうしでチト不満も残るけど、全体的には楽しめた一本だった。
ヘンかもしれないが、なかなかやるなあと思った点を2つ。
・子供の殺し屋を説明なしに登場させる演出。
・何体も犠牲にしてやっと手に入れた原子力電池を使って作り上げるのが、もっと強力な武器とか道具とかかと思っていたら、単なる「アレ」だったことが素晴らしい。これにはかなり賛否の否が多いと思うが、自分は気に入った!
»»鑑賞日»»2019/08/02

●原題:AUTOMATA
●制作年:2014
●上映時間:109min
●監督:ガベ・イバニェス
●キャスト:アントニオ・バンデラス/ビアギッテ・ヨート・スレンセン/メラニー・グリフィス
●お薦め度:★★★

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