COCO

リメンバー・ミー

原題で言えば、タイトルロールと主役が違うという割と珍しいパターンの作品だ。もちろんタイトルロールは重要な役割を担ってはいるんだが。
キャラクターデザインの好き嫌いはあれど、フル3DCGアニメーションの映像表現としてはモウここまで来たか〜!とびっくらこき、口をあんぐりしてしまう。
世界最高峰のスタジオに向かって何を今更という向きもございましょうが、素直に感服仕った次第でありますということが大前提で色々と申し上げまする。

これはメキシコのお盆を題材にしているっちゅうことですな。
このご先祖様が年に一度帰って来るという概念は正に日本のお盆と同じだが、やはりお国柄の違いか、恐ろしくご陽気な死後の世界だ。まあピクサーの脚色も多分にあるんだろうが、とにかく明るい。
こんな調子やと一回死んでみるのもエエかもしれんと思わされる。どこかの国だと、こんな映画を観たら若者の自殺が増えてしまうかもしれんぞ!けしからん!有害映画だ!と一歩間違えたらなりかねない勢いだ。
まあ日本でも落語の「地獄八景亡者の戯れ」なども桂文珍の演じるものなどになると、どんどん現世の流行風俗などがバージョンアップするあたりは、本作と近しいものがある。個人的に嬉しかったのは、マッキントッシュのSE/30らしき筐体のパソコンをガイコツの検査官が扱っているシークエンスなんかは、さすがスティーブ・ジョブスの流れを汲む会社の作品とニヤリとした。
てなことはさておき、かの国はガイコツ文化なんだと改めて思い知らされた。骸骨、髑髏ドクロ髑髏シャレコウベなどは日本映画ではやはりおどろおどろしいものになるだろうし、幽霊の表現としては、大体においてのそれは生前の姿を薄暗くしたものが普通なのに対して、あのポップなガイコツたるや流石と言いたい。
しかも表情がない分、目玉の演技が凄いってことがよく判る。そして服装のお陰もあるだろうが、ガイコツだけでそれぞれの個人を特定できる表現も恐れ入る。
また、地味ながらオープニングの切り絵アニメによる説明シークエンスにも特筆すべきものがあるということをお伝えしておきたい。
»»鑑賞日»»2019/01/23

世の中は最早ブルーレイ文化になってしまっているとは言え、パッと見、この作品のDVD単体は売っていないように見受けられる。
作品によってはDVDよりもBDのほうが安いという現象も起こっているけれど、このディズニー帝国の抱き合わせ商法は如何なものか?
ちょっと調べてみると、このMovieNEXというシステムはディズニー帝国オリジナルの戦略で、この抱き合わせ商法でしか販売しないし、後日廉価なDVD単品を発売することもしないという作戦で、消費者の諦めを応援している。デジタルダウンロード権は別にして、BDがあったらDVDはいらんやろと思うのだがね。
まあレンタル屋にはDVDがあるからいいか…とも思うが、レンタルするにしてもBDとDVDではレンタル料金に違いはないんだから、諦めてBDプレイヤーを買うか…と思う次第である。DVDプレイヤーも随分と減って来てるしなあ。

●原題:COCO
●制作年:2017
●上映時間:105min
●監督:リー・アンクリッチ
●キャスト:石橋陽彩/藤木直人/橋本さとし
●お薦め度:★★★★☆

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