ヒトラーの贋札
恐らく実話なんだろうとは思うが、ある天才的な贋札作りおじさん(カール・マルコヴィックス←ジェイソン・ステイサムを
よくある現在と回想をまぜまぜにする手法ではなく、最初と最後だけ現在で中身全部が回想パートとなっている。この回想部分がかなりドキュメンタリータッチのカメラワークで、臨場感がある。
歴史的にはドルの贋札の発行をかなり少額に抑えることができたということでヒトラーに一泡ふかせていると言えなくもないが、映画としては殆どドキュメンタリーの再現ドラマを観ている感じであり、エンターテインメント性は皆無と言っていいだろう。
それというのもこれには原作があり、主役の天才贋札おじさんが書いた訳ではなく、たった独り、正義だー!と言ってわざとサボタージュして製作を遅れさせた男が原作だとエンドロールで字幕説明される。
サボタージュの
に対して原作者は、このコミュニティの中では厄介者として描かれている。視聴者はみんな、仲間が殺されるんなら贋札ぐらいジャンジャン刷ったらエエやんと思うはずだ。しかし原作者は人死にが出そうになっても頑なに邪魔をする。
だから決して自分をエエモンに描こうとはしていないのは、ちょっと珍しいかもしれない。
(これは贋札による被害の重大性を理解していない私だったから、そこの緊張感を読み取れなかった)
余談だが、ポンド札を最初に刷ることになるんだが、当時のポンド札というのが、とても現在のお札とはかけ離れているのに驚いた。お札というよりは証券証書のような大きさとデザインだった。比べてドル札は今と変わらないのも、ある意味驚きだ。
»»鑑賞日»»2018/11/25
●原題:Die Fälscher
●制作年:2006
●上映時間:96min
●監督:シュテファン・ルツォヴィツキー
●キャスト:カール・マルコヴィックス/アウグスト・ディール
●お薦め度:★★★