En man som heter Ove

幸せなひとりぼっち

久しぶりに北欧の映画を観た。スウェーデン映画である。
第三次U-NEXT大会の千秋楽を飾るに相応ふさわしいまことによい映画だった。
この邦題も「最高の人生の○○」みたいな、ある種の狙いを感じてしまいチョット敬遠していたんだけど、内容は素晴らしいものだった。
主人公の現在は妻に先立たれて会社もリストラに遭い、もうヨメハンの後を追うしかないと自殺を図ろうとする男だ。と書くと情な〜いショボクレ親父だろうと想像してしまうが、実際はあらゆることに腹を立てる頑固一徹の小言幸兵衛のような男で、とにかく怒っている。だがその一方、事あるごとに自殺を決行しようとするのだが、その都度邪魔が入るという、まぁ映画としてはどこにでもありそうなコメディタッチのヒューマンドラマだ。
で、何がそんなによかったのか?
自決の実行から邪魔が入るまでの数秒の間に蘇る走馬灯タイムで、これまでの半生を見せてくれるという演出で、父親のこと、家のこと、恋人のこと、妻のこと、子供のことを順を追って語ってくれる。
この回想シーンが実に瑞々しい。特に全宇宙で唯一信用できる人間である「ヨメハン」との出会いから結婚、そしてその生活のくだりが素晴らしい。
このヨメハンを演じている女優さんが最高にイイ!誰もが認める美人とは言えないが、その雰囲気と言動のバランスが何ともチャーミングで、あの偏屈親父が後を追いたくなるのも頷ける女性なのだ。
と、現実と虚構の区別もつかなくなる程、のめり込むことができた1本でした。
»»鑑賞日»»2020/04/19»»U-NEXT
原題の意味

原題である「En man som heter Ove」の意味は、グーグル翻訳先生によれば「オーヴェという名前の男」と吐き出された。自分的にはこの直訳のほうが好みだなあ。

●原題:En man som heter Ove
●制作年:2015
●上映時間116min
●監督:ハンネス・ホルム
●キャスト:ロルフ・ラッスゴード/イーダ・エングヴォル/バハール・パルス/フィリップ・バーグ
●お薦め度:★★★★★