GUNDAM THE ORIGIN 5

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 5 激突ルウム会戦

もはや実録ものを見ている感覚になってくる。
未来に起こる誰もが知っていることを見せてもらっている感覚だ。
ファーストガンダムの時には言葉でしか表現されていなかった事象をここまで緻密に描くことができるとは、感涙ものだ。
しかも細かいディテールが本格的っぽいのが実録感を増幅させている。この「ぽい」というのがとても重要というかキモというかな匙加減なんだよな。
この感覚は「ユニコーン」の時も感じたが、軍事オタクすぎず且つ本物感を思わせる絶妙な加減だ。宇宙での戦争なんだから、誰も実態は知らないはずなんだけど、こうなんだろうなあと納得させられる。

特に今作の目玉はザクが軍艦(ムサイか?)に収容される&発進するディテールだ。今までの作品(と言っても見たのは宇宙世紀ものだけだが)では、幾万遍と見て来たカタパルト装着、発進よろしくて?&ハンガーで引っ掛けて収容なパターンしかなかったのに、ザクは寝た状態で発着させるのは目から鱗だ。

そういったメカ関係のリアリティだけではなく、人物描写も堂に入っている。相変わらずハモンさんはカッコいいし、ランバ・ラルもいい。戦争という狂気の中でスジを通しているバカな漢というスタンスが嫌味なく描かれている。ドズル中将も同様に羲には篤いが軍人であらんことを欲する漢としてうまく描いている。

誰もが知っている有名なコロニー落としのブリティッシュ作戦もファーストのアバンタイトルでそれこそ何万回と見た訳だが、意外とあっさり描かれているように感じる。しかし、ユウキという青年とその恋人のエピソードや、コロニーの透明な部分を隠すミッションを描くという、一見本筋とは関係ない設定を短い時間の中に差し込むことで、恐ろしくリアリティが増し奥行きが深まっていることに脱帽する。こないだ観た「ジャスティスリーグ」や昨日観た「シェイプオブウォーター」にツメのアカでも煎じて飲ませてやりたいと思う今日この頃だ。

セイラさんのやっぱりキャスバルの妹だなと思わせる表情&行動とか、コロニーの窓越しに邂逅する赤ザクとセイラの構図もグッときますな。ザク側からは望遠レンズとかで見えるだろうけど、セイラさん側から見えるのか?という疑問は沸くけど、そんなことさえ気にならない名シーンです。あそこでシャアに何も言わせない演出がいいですね。望遠レンズがちょっとブレる感じで遠ざかるのが素晴らしい。
»»鑑賞日»»2018/10/19

見終わったあと、アマゾンのレビューを読んでみた。

少数ながら★1つでコキ降ろしている人もいる。『全然「ルウム戦役」しとらんやないか!』と怒っている人が多い。そんなに戦闘シーンばっかり見たいんかい!と思うが、まあその気持ちも判らんではない。しかしココで注目したいのは、そのタイトルだ。ルウム「戦役」ではなく、ルウム「会戦」となっている。会戦?開戦の間違いじゃないのか?と思ったので、意味を調べてみた。

概ね「比較的大規模な戦闘のこと」と言う意味になっている。開戦とは違う意味だな。「激突ルウム開戦」ならお怒りの矛先は間違ってると指摘できたんだが、これじゃやっぱり看板に偽りありになってしまうなあ。と中途半端な指摘をしてしまいました。どうもスミマセン。

●原題:機動戦士ガンダム THE ORIGIN 5 激突 ルウム会戦
●制作年:2017
●上映時間:84min
●監督: 今西隆志
●キャスト:池田秀一/藩めぐみ/銀河万丈/沢城みゆき
●星の数:★★★★★


◉機動戦士ガンダムUC 原作小説版

「激突ルウム会戦」で誕生したミネバ・ラオ・ザビが主役の「ユニコーンガンダム」の原作小説。普段小説はまげもんしか読まない自分もコレには涙した。勿論、アニメも素晴らしいが、アニメを見終わったあと、こちらの全11巻セットを中古で購入した。
いやあ、いいですね。アニメでは省かれた部分や細部に渡る設定の緻密さを堪能できる。番外篇たる第11巻はセット売りには弾かれていることが多いが、コワモテキャラだけどなぜか愛すべきダグザさんの前日譚が秀逸なので是非読んでほしい。

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