Mr. Holmes

Mr.ホームズ 名探偵最後の事件

オン年90ウン歳になったかつての名探偵、シャーロック・ホームズの記憶力との闘いを描いた作品。

引退に追い込まれるほどの失態を演じた最後の事件。自己防衛本能か、その顛末は忘却の彼方へと消え去っている。事件当時はワトスン君が気を利かして美化した脚色を施してくれたが、事実はそんなんじゃない!死ぬまでになんとか真実を思い出さなければならない。
ローヤルゼリーの摂取で記憶力の復帰を期待したが効き目は薄い。こうなったら、東洋の秘薬「山椒」に頼るしかない、と老体に鞭打つ長旅で日本まで足を伸ばし、ようやくその秘薬を手に入れたのはいいけれど、これも効き目があるのか怪しいものだ。とは思うが、藁にもすがる思いで、カレーに紅茶に何にでもふりかけて食べている。そのお陰か気の所為か少しずつ記憶が掘り起こされてきた。

と書くともうコメディかと思うかもしれないが、実際は至って大真面目だ。シャーロック・ホームズは実際にはコナン・ドイルの創作なんだけど、作品上はホームズの友人であるワトスン君がその顛末を記録して発表しているというていの文体だったと認識している(自分は読んだ事が無い)。
しかし本作はワトスン君も亡くなりはや30年近くが経って、老い先短い養蜂家となった元探偵の目線で描かれている。推測だがこんな話をコナン・ドイルは書いていないだろうし、「最後の事件」も書いていないんじゃないのかな。映画のオリジナル脚本か、別の作者が書いた二次創作ものではなかろうかと想像している。
舞台は第二次大戦終戦直後らしき日本と、それから数ヶ月経ったイギリスの片田舎、そしてそれより30数年前のロンドンという三本柱で話は進行する。
「最後の事件」とされる30数年前のロンドンだけで描くと、それだけではお話にならない、もしくは15分程度の短編にしかならないのではないだろうか。どちらかと言うと、現在であるイギリスの片田舎での家政婦の息子であるロジャーとの交流がメインだと思う。最高の読者である彼の存在が記憶を呼び戻してくれているに違いない。
だいたいねえ、記憶を取り戻すには山椒じゃなくて青魚でしょ。なーんて言えるのはそれから70年待たなければならんのだけど。それに原爆の爆心地に生えていた山椒なんか食ったらマズイっしょ。この辺りの考証がどうもいただけません。チラッと写ってたけど、昭和20年にチョンマゲはおらんやろ。それ以外はヘンな日本表現は少なめだったけど、BBCとは思えねえツメの甘さだ。
ツッコミはこのくらいにして、結論としてはこの映画はロジャーとホームズの交流を描いたヒューマンドラマだったということです。
»»鑑賞日»»2019/08/14

ローラ・リニー

ロジャーの母親で家政婦さん役のローラ・リニーは「トゥルーマン・ショー」の奥さん役の人だった。
そしてホームズ役のイアン・マッケランは「X-MEN」シリーズのマグニート役の人だった。あれ?マグニートはマイケル・ファスビンダーだったんじゃなかろうか?老いたマグニートかな?

●原題:Mr. Holmes
●制作年:2015
●上映時間:104min
●監督:ビル・コンドン
●キャスト:イアン・マッケラン/マイロ・パーカー/ローラ・リニー/真田広之
●お薦め度:---

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