Paraísos Artificiais

シャングリラ、天国の誘惑、罪の楽園

映像表現的には申し分ない。
だがドラッグやDJを題材としているのでついて行けない。
ブラジルっちゅう国は人身売買、臓器売買、ドラッグが横行しているオトロシー国というイメージを植え付けられるわい、映画を観ている限りでは。これも日本には忍者やちょんまげが未だにいると外国では思われているのと同じことだろうか。
現在、4年前、6年前の時間軸が入り乱れて構成されている、例のパターンだ。小出しにピースを埋めて行き、最後に感動を用意している。と言いたいが、たいして「感動する」とまでは感じない。それもこれも、あんなにジャカスカとドラッグに溺れておいて、今更感動もヘッタクレもないじゃないかと思ってしまう。
アチャラの人は、あんなに日常的に平然と肯定的にドラッグを服用しているものなのか?ピエール瀧もドラッグに手を出すハズじゃわい。だから邦題が「シャングリラ」なのか?
更にもひとつ言わせてもらうと、劇中でのDJプレイがよく分からない。ヒロインのおねえさんは非常な美形なのは間違いないのだが、あの演っているDJプレイというのが、他の人が演っているのと何が違うのか分からない。自分用のレコード盤を引っ提げて登場するのだが、それまでと何ら曲調が変わっていないようにしか聞こえないのだ。
そんなこんなでちっとも感情移入できないままフィナーレを迎えるのだった。映像がいくら良くてもアカンもんはアカンっちゅうこってすな。
»»鑑賞日»»2020/11/22

「題名のない子守唄」

同じような構成にジュゼッペ・トルナトーレの「題名のない子守唄」という傑作があるが、あれは最後に嗚咽を噛み殺したなあ。

●原題:Paraísos Artificiais
●制作年:2012
●上映時間:96min
●監督:マルコス・プラード
●キャスト:ナタリア・ディル/ルンカ・ビアンキ/リヴィア・デ・ブエノ
●お薦め度:---


◉題名のない子守唄

重苦しい空気で充満した映画だ。
え?これがあのジュゼッペ・トルナトーレ?と思うような空気感。随所に散りばめられた主人公の過去の映像が、観ている者をどんよりと落ち込ませる。
まず主人公の目的がさっぱり判らないが、暗い過去や過ちはあるが悪人でないことだけは判る。
主人公の不可解な行動の理由や目的が判るのは大詰めになってからだ(自分だけかも知れんが)。
そしてラストシーンでカタルシスは一気に爆発する。
うーん、さすが、これぞ映画芸術と唸ってしまった。
★5つを捧げたい。