Short Term 12

ショート・ターム

松本大洋の「Sunny」なお話だと言えば解りやすいだろうか。
とある児童養護施設を舞台に、ある時期を切り取っている。その施設の名前が原題となっている。
その「ショートターム12」で働く職員カップルがどちらかと言うと主役である。なかでもその女性のほうが真の主役であり、演じているのは「キャプテン・マーベル」でお馴染みのブリー・ラーソンだ。
彼女が手練れのベテラン職員として登場するが、新たに入所してきた少女(ジェイデン)が自分の過去と重なることから葛藤が始まり、どんどん乱れて行く。この乱れっぷりがマックスになるあたりが見どころだろう。
そしてこの二人のやりとりが非常に楽しい。楽しいというのは語弊があるかもしれないが、ジェイデンの頭の良さが際立つ会話の返しがお見事なのだ。よくある本国の人にしか解らないそれではなく、外人である我々が聞いても容易に理解できる種類の返しなのよ、コレが。そんな達者な会話ができるのに、自傷してしまうような闇がどこにあるんじゃろ?と思うくらいだ。
映像は望遠レンズを多用しており非常に美しい。そして「捜索者」のようにオープニングと呼応させたエンディングは、意味もなく素晴らしく、見事なクロージングを演出している。
»»鑑賞日»»2021/01/04

●原題:Short Term 12
●制作年:2013
●上映時間:96min
●監督:デスティン・ダニエル・クレットン
●キャスト:ブリー・ラーソンジョン・ギャラガー・Jr/ケイトリン・デヴァー
●お薦め度:★★★


◉Sunny

松本大洋の自伝的作品というキャッチフレーズのコミック。全6巻。
いわゆる施設の子供たちのお話で、「ショート・ターム」を観賞中、この漫画のことが頭を駆け巡った。
松本大洋という人の熱心な読者ではないので、全面的にお薦めするっちゅうもんでもないが、一連の表紙群やカバーデザインは素晴らしい。
題名の「Sunny」は子供たちの秘密基地的な場所である日産サニーから来ていると思われる。