The Help

ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜

お安いお涙頂戴モノの危険性が高いと思っていたが、「クソ食らえ!」ネタが物語の中核を成すという異色の展開で呆気あっけにとられた。
当時の白人女性像が、今となっては天然記念物でも見るような気分になってしまう。と言っても、近頃の映画に登場する女性しか知らないので、ネイティブでないと分からない肌感覚はまた別モノなんだろうけどね。
と言う訳で、その町で唯一といっても良いくらいの先進的な考えの持ち主だったライター志望の主人公が投じた一石が、人種差別問題に風穴を開けるお話なんだけど、気になるのは当時の白人たちは自分たちの矛盾に気づかなかったんだろうか?ってことです。
自分たちのトイレをメイドが使ったくらいでクビにするっていうんならですよ、そのメイドが作った料理をよく食べられますね?また、バイキンだらけだと考えている、そんなメイドに、自分の大切な子供を直接触れさせて世話させることができますなぁ?ってことなんですよ。片手落ちもエエとこでっせ。
と普通のツッコミを入れた所で、最も腑に落ちない点を突っついてみたい。
主人公を突き動かす原動力となったあの事件の発端だ。自分の母とも思っていたメイドがクビになった理由である。あの表現では、人種差別云々という前に、雇用関係上の観点から言って、クビになって当然とは言いすぎかもしれないが、話を判り易くするために、あえて当然なのではないか?と言ってしまおう。
メイドさんの実の娘の態度が悪すぎる。使用人の娘なんだから勝手口から訪問するのが当然だと思うが、これは日本人特有の感覚なんだろうか?あちらでは使用人といえども正面玄関から堂々と出入りするのが普通なんだろうか?しかも重要な来客中である。間が悪すぎる。クレイジーキャッツの映画でも観ているようだ。
あれで「メイドはどこも悪くない」とはならないと感じるのだ。確かにメイド自身は悪くないが、その娘の態度は連帯責任を取らされてもしょうがないくらいに悪い!と感じてしまう。それとも主人公の本当の母親の告白での表現だから、自分に有利な表現をあてこんだっちゅうことも考えられるが、この一点がある所為せいで物語にのめり込むことができなかった。
しかし良い点もある。本が出版されました目出度し目出度し、で終らずに、そのあと起こることもきっちり描いていることで、その他諸々とは一線を画していると思われる。
»»鑑賞日»»2020/09/12

●原題:The Help
●制作年:2011
●上映時間:146min
●監督:テイト・テイラー
●キャスト:エマ・ストーン/ヴィオラ・デイヴィス/オクタヴィア・スペンサージェシカ・チャスティンシシー・スペイセク
●お薦め度:☆☆☆