静かなる男(1952)
牧歌的な、あまりに牧歌的な
もはや、おとぎ話と言ってもいいかもしれない。
ジョン・ウェイン主演でこの題名だから、てっきり横暴に耐えて耐えて耐え抜いてついに爆発な話だと思っていた。ところが蓋を開けてみると、ラブコメじゃないですか。しかも多少の障害はあるが、ほぼトントン拍子に事は運ぶ、まるで大瀧詠一の「FUN X 4」みたいな話だ。これのどこが「静かなる」男なんだ?と終盤近くなるまで思わされる。
その「静かなる」エピソードもこじ付けのような付け足しのような具合で、最後の大喧嘩の前ではほぼ無かったことにされている(まあこれは相手が手強いということが判明したという大前提があるんだろうが)。この大喧嘩話は、今では古典となっている蛮カラ青春ものの定型とも言える、
多分に誇張はあるかもしれないが、アイルランドというお国柄を知ることができる貴重なフィルムかもしれない。だが時代設定も加えて、ほぼファンタジーの域に突入している気がする。
»»鑑賞日»»2019/07/26
デジタルリマスター版が発売されている
自分の観たのはレンタル屋で借りたもので、映像にかなりボケが入っているものだった。慣れるのにしばらく時間がかかったのもこの評価に反映されているかもしれない。
この記事を作成するに当たり、アマゾンで調べてみると、まあ当たり前と言えば当たり前なんだけど、ちゃんとデジタルリマスター版が発売されていた。ちゃんとリマスターと明記されているので分かりやすくてよろしい。リマスターでないものも当然販売されているけれど、もし購入するのであれば、リマスター版を強くお奨めします。
でも自分としては、一度観たものをリマスターがあったからといって買い増そうとまでは思わない作品だったということもお伝えしておきたい。