Witness for the Prosecution

情婦

ビリー・ワイルダーの隠れた名作との呼び声も高い本作、観よう観ようと思いつつ10年は経ってしまった。
主役はチャールズ・ロートンと言ってもいいだろう。この人にはツイ先日「スパルタカス」でお目にかかったばかりだ。なるほど名優と言われるだけのことがある、非常に味のあるオヤッサンだ。日本の俳優で言えば高品格のようなと喩えれば通じるだろうか。やはりこれは唯一の監督作品である「狩人の夜」を観なアカンですな、と思わせる。
そして伝説の女優マレーネ・ディートリヒを初めて拝見した。本作では幾分トウがたっているものの冷徹さを感じさせる美女を演じている。

と、内容についてはネタバレに通じてしまうので殆ど書くことができないのだが、ジャンルで言えば法廷ものに分類される。
法廷ものと言えば、勝つ見込みのない裁判をギリギリで勝利させる逆転裁判的なストーリーが主流になると思うが、「推定無罪」や「砂上の法廷」のような話も少なからずあるだろう。
本作はどちらかと言えば後者に当たるだろうし、しかもそのジャンルの嚆矢コウシになると言ってもいいくらいの作品だと思われる。
流石にビリー・ワイルダーだから結構な割合でコメディシーンを放り込んで来る。中盤辺りまではこりゃコメディ映画だったのかと思わされるし、殺人事件の裁判なのに深刻さは全く無いと言っても良いくらいだ。
しかし随所に散りばめた伏線を最後の最後に一気に回収させる手腕は見事と言いたい。が、ちょっと一気すぎると感じた。まるで舞台劇を観ているようだ。あの豹変の仕方も見せ場の一つなんだろうが、あの場所でそんなこと言うか?もっとどこか別の場所、例えば酒場とかに移ってからなら納得もできるんだが、あの場所でそこまでネタばらししてしまうのは不自然だよなあと思うのである。

また、映画のラストで絶対他言無用とお願いしているにも関わらず、この邦題の付け方は如何なものか?と思うのだが。ええんかいコレ?
»»鑑賞日»»2019/01/21

原題の直訳は「検察側の証人」
原作は有名なアガサ・クリスティーの書いた戯曲とのことで、舞台劇のように感じたのもサモアリナンなことだった。

●原題:Witness for the Prosecution
●制作年:1957
●上映時間:90min
●監督:ビリー・ワイルダー
●キャスト:チャールズ・ロートン/タイロン・パワー/マレーネ・デートリッヒ
●お薦め度:★★★★

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