ヤマハメイト・鳥羽一郎
1人500Δrだという朝食を頼むと、予想を裏切らないショボい内容のものだった。
TONIに頼んでヤマハメイトを2500で借りることにした。ガソリンも売っているそうだが(そんなことしてエエんか?ま、50ccにヘルメットなしで二人乗りしてもいい国だから問題ないのかもしれん)当然断りガスステーションで2ℓだけ入れることにした。途中で一方通行になっていて迷ったので、に、なぜか都合良くそこにいたポリスに訊いてもらった。
しばらく進むと、あるわあるわスーパーマーケット。最後に登場した一番デカそうな店に入って、パン、ピクルスサラダ、フルーツジュース(パイン、オレンジ)、マッチ(蚊取り線香用)、封筒、そしてトワイニング製中国茶(ジャスミン、チャイニーズブラック、雲南)のティーバッグ(各10パック入り195Δr)。昨日の中華レストランで出て来たのと同じ物だ。どこかにあるに違いないと踏んでいたけれど、こんなに速攻で見つかるとは思っていなかった。バイクを借りてよかった。このスーパーは今まで見た中で最大級のデカさだ。嬉しくなってしまう。
ここには、これまたおなじみの白壁青屋根の教会が5、6軒建っている。小さなジグザクの階段で屋上に上れる長屋や、ロバくんの小屋などを見つつ上に上がると、哀しそーなロバくんに乗った寂しそーなおじいさんが上ってきた。そこにいたフランスのおねえちゃんが喜んで写真を撮ろうとしたら、さすが慣れたもので、立ち止まりこちらを向いてポーズを決め、はいパチリ。さすが観光の島、手慣れたものです。さらに驚いたことに、おじょうさん乗ってみんされ、それをあの人にフォトーしてもらいなされと私を指すではないか。
ヤマハメイト
永らく活躍したヤマハのビジネスバイク。デザインはホンダのカブに酷似しているが、大きな違いは2サイクルエンジンであるということ。2018年現在では、このタイプは消滅し、スクータータイプのものにその名は移管されている。とばかり思っていたら、ホンダのベンリィと混同していた。正しくは2008年で生産終了し、実質的後継車「ギア」にその座を譲り渡した。
どうやら合図だったらしく、やがてフランスおばさんとおじさんが現れ、みんな揃ってメッシーオーヴォアッと言って退場していった。
ロバおじいさんは、ニコニコと今度はドイツおばさんにも同じように勧めた。ただし今度のカメラマンはそのダンナさんだ。ロバくんにとってはかわいそうな感じのおばさんも、ちょっと恥ずかしそうにまたがり、おじさんはソノママソノママと言いつつパチリと音をたてた。ダンケッとドイツ夫妻も去ってしまい、そこには沈黙が流れるのみだった。風がそよそよとささやいた。
日陰で休んでると、同じくハーハー言いながら中年夫婦がゴールインしてきた。席を譲ってあげた。ドイツ人らしいが、英語でなんじゃらかんじゃら訊かれてしまい、さっぱり判らなかったのでお茶をにごして降りることにした。
小部の不動さん
ウチの田舎にあるお不動さん。ココと同じくけっこうな急勾配を登って辿り着く野趣溢れるスポット。
もちろん、エーゲ海は広がらない。瀬戸内海が広がったかどうかは憶えていない。
タベルナの前を通り村の端まで行ったと思ったら、まだ石を散りばめた道は続いている。どんどん行くと、小さな入り江が現れた。舟が2艘もやってある。その向こうでは若者が靴を片手に挙げて、15mくらい沖にある崖だけで構成されたようにしか見えない小島に泳いで渡っている。一体何をするんだろう。
「ヘーイ、どうやってそんなとこに登ったんだー!?」
と大声で叫んだ。
「泳いで靴履いてよじ登ったんだー!お前も来いよー!グレートビューティフルワンダフルソーナイスだぜー!」と多分返答している。
どうやらその友人Aも行くようだ。服を脱ぎはじめている。空を見ると虹が、でっかい虹が掛かっていた。「レインボー!」と崖の上から声が上がった。
友人Aもいとも簡単に登ってしまう。思わず拍手を贈ってしまった。手を振って返してくる。うーん、やるなあ外人はー。泳ぐつもりなんかなかったんやろけど、あの頂上を見たら泳いで渡る気になって、やってしもたんやろなあ。行動力あふれる人物とはこういう人のことを言うんやろなあ。足許にも及ばないと思ってしまった。自分がした訳でもないのに、それを見ていたというだけで自分もエラくなったような気分になってしまった。しかしそろそろ帰らなければならない。
二人が岸に上がり、どうやら銛で突いたらしい魚を大量に並べだした。最後には60㎝くらいあるエイを2匹も(1匹は子持ちっぽい)並べた。んーかっちょいいなあー海の男してるなー。スーツを脱ぐと、おなかも出ているスーパーマリオのようなおっさんだった。でもかっこいい。
珍しく、その時の写真を撮っていた(アキモト氏ではないが、手持ちのフィルムは限られているのだ)。
おそらく骨董もののオリンパスペンEE(ハーフサイズ)で撮ったものと思われる(36枚撮りだと72枚撮ることができる、牧歌的な時代の話だ)。
若い衆が岸の階段に、俎板、ハサミ、ナイフ、鱗取りを持って来てサバき始めた。エイのサバキになると、おかみさんも出て来て2人がかりで、大風の中取り組みだした。サバキが終わる頃には風も止み、海水で道を掃除している。
店のおねえさんは最後にウゾを出してくれた。は大喜びで2杯も呑んでいる。おねえさんが、もうちょっとしたら今サバいてた魚が焼き上がるからそのままいらっしゃいと言ったようだけど、有り難いがそれだけはマズいと、レンタバイクを返さんならんのでと断って出てきた。
しかし感じの良い店であった。日没の瞬間を見て、雲の隙間から現れた満月を眺めつつ帰路につき、トニにグッドだったと言ったらニコっと笑っていた。
風はどうやら落ち着いたようだ。
ウゾ
ウーゾと呼ぶのが本当らしい。ギリシャ特産の蒸留酒。アニスの薫りがする。つまり八角ですな。台灣を思い出す。
2杯も呑んでいる
わしことは酒にとても弱く基本的に呑まない。バイクを運転していることもあるし、当然のことながらが2杯呑むことになる。
それだけはマズい
は魚にとても弱く基本的に食べない。振る舞ってくれたものを食べない訳にはいかず、そうなる前に退散したという次第です。
|
◉OUZO 12
ウゾ。さすがにコレは日本でも普通に売っている。 |