ヨーロッパほぼ一周食い心棒の旅#35 ティラ

うまか不思議ギリシャ篇ロゴ

ギリシャ第25日目 6月13日(火)

だからカンコーチは

サンドリーニ島・フィラ

早朝、大雨の音で目が覚め、あ、こりゃ今日は泳げんなと思い、又寝をした。9時すぎに起きてテラスで自前の朝食としゃれこもうとしていると、おばさん通りがかり「ブレクファーストが要りますか」と言ってきた。今喰ってるのに要りますかも何もないやろと、ノーノーノーと断ったら何かヘンな顔をされたように思えた。やっぱりここで食べたらマズいんかなーと思いつつも喰ってると、中年ドイツ人夫妻がやってきて(しかしドイツ人夫妻率が高い)、おやテーブルは空いてないようだこの階段に腰掛けて食べよう、とセーダイに食料を広げだした。さすがドイツ人、やりますなあ。

郵便局を探しにバス停に行く。この近所のハズなんやけどなあとグルグル回るが無い。さらに回ると漸くカクレンボしているようにして建っている郵便局を発見できた。何だかエラい人である。局の外にはみ出てまで人が並んでいる。何があったんや?二人で並ぶのも時間の無駄なので、を博物館にやり、独りで最後尾に並んだ。
ギリシャの郵便局はお役所仕事ではないらしく、存外早く順番がやって来た。540Δrの切手を買い、ペロっと貼って投函した。
待ち合わせの時間には間があるので隣のミニマーケットで水を買うことにした。急に晴れてきてヒジョーにノドが乾くのだ。しかし値段が貼ってない。前の人の買っているのを研究すると120だと思える。うーむ高い。これじゃイラクリオのキオスクと同じじゃないか。まー、カンコーチだからそんなもんか、と買うことにした。
水を飲みつつ、待ち合わせ場所で家にハガキを書いていたら、青帽子の親爺さんが横に座り絵ハガキを広げだした。どれもショボいなあと思ったけど、1枚だけマシなのがありじっと品定めをしたが、結局やっぱりいらんよと返却した。しかし親爺さん食い下がり、50、50と言ってその品定めしていたハガキを差し返す。うーん、ウラが古いよと言うと、別の1枚を差し出し50、50。それもあんまり変わらんけど、ま、これもアイキョーと40、40と言って買うことにした。
しかし20Δrが2枚あると思っていたのに、さっきのスーパーで使ってしまっていて50Δrしかないではないか。50Δrを差し出すと、やっぱりおつりはくれなかった。
昼めしのピザパイ、カルツォーネ各400Δrを買って、喰いながらスーパン屋に向かい、明日のパンとジュース、昼のツボルグを買った。ツボルグは150。うーむ、これまた高い。どこがスーパーなんや。昨日のピルゴスのキオスクでも150やったのに。喰うか怒るかしかしていない男は、やっぱり喰いながらホテルに帰りツボルグを一気飲み。
かなりカンカン照りで、どエラく暑くなったので、やっぱり泳ぎに行くことになった。今日もこの一家は総出で磨き倒している。おばさんには英語が喋れて仕事熱心な息子トニ、トニにはべっぴんさんの女房マリア、マリアにはパパによく似た娘がいて幸せだろうけど、明日も明後日も10年後も磨き倒しながら、こんな安い料金でホテルを経営しているのだろうか。みんな高い料金ふっかけてテキトーによろしくやっているのに。こんなに勤勉な外国人は初めて見たような気がする(ちょっとかいかぶりすぎか?)。

明日も明後日も
てなことをなぜか思ったが、今思うと、旅行者にとってはいいことではないか。何を怒ってるんだわしは?

バス停に向かう途中、イア往きのバスを見かけたけど、すぐ次の便があるやろと手は挙げなかった。バス停に着いて時刻表を見ると2時15分のがあるはず、只今2時10分。げっ、さっきのがそのバスに違いない。そげなことがあってよいのでしょうか。
次は3時00分なので、どっか日陰で休もうよとどっかに向かった。ペリカンツーリストで少し涼んで、ちょっとノドを潤そうではないか。スーパーは閉まっている時間だけど、キオスクもどうせ同じ値段やろからツボルグを2人で1本飲もうか?飲もうよ!ということで、よく冷えていそうなキオスクに向かい冷蔵ドアを開け1本取出し、兄ちゃんの目の前に置いた。

カンコー客を食い物
またもや、わしは何を言っとるんじゃ。そんなこと当たり前に決まっとるやんか。ここは観光地中の観光地。観光の国から観光を広めに来たような観光地の権化。観光で成り立ってる町なんだよ。

どうせ150だよねと、きっかり150を握りしめて耳を傾けていると、聞こえてくるお言葉はツーフィフティー。えーーーー!わが耳を疑って、指で2、5、0を作ると、ワット?とか言いながら兄ちゃんは紙に250と書くではないか!あーたまげたたまげた。
ノーサンキューと言って冷蔵ケースに返却し、その場を立ち去った。この町はカンコー客を食い物にして生きてる町ではないのか?スーパーが閉まってる時間はキオスクも相場が変動するのではないか?急速にイヤな気分になり、また、あのうるさい夏がそこまでやってきているのだと感じた。
イアの村に着くと空は急に曇りだした。けっこう小ぢんまりとしていてハイソな感じのする村並を通り、ロバフンロードの急勾配階段を降りる。途中で逢う人はハーハー言って登ってくる。アラブっぽい兄ちゃんは陽気に「アテンシヨーン! ユー、リターン。ディスロード、イズ、ベリー、ストロング!ワッハッハ!」と言いつつすれ違って行く。我々にはロバくんがいるから大丈夫なのだよと思いつつ下に辿り着くと、昨日はあんなに群れていたロバくんは一頭もいなかった。
同じ250払うなら昨日のタベルナのおねえちゃんとこで買ったろうとツボルグと500ccの水を買うとちょっとまけてくれた。
ベストスポットは天気もよくないのに人だらけで、昨日と雰囲気が違う。おっ、あの女の人もこっちのおっさんもハダカで泳いどるやんか。もしかしてヌーディストビーチなんか?と思ったけど、ツボルグ飲んで着替えて、いててててと言いつつ進水した。とびこみ、飛び込み、ざぶん、ザブン。やっぱやめられませんなあ。ありゃ向こうのほうでカミナリ光ったで。ま、大丈夫やろ。今度はフェリーが通った。おーおー、けっこう波が荒くなってオモロいおもろい、飛び込んだれ。ポシャン。プカプカ。おー揺れるゆれる。ん。何か聞こえる。と振り向くとが仁王立ちで、はよもどってこんかーい!と角を生やしている。
怒られつつ雨の中、タベルナ密集地帯に戻って雨宿りをした。昨日のタベルナにちょっと早いけど入ろかと行きかけると、トントンと肩を叩かれた。ふり向くと、さっき横で雨宿りしてたおねえちゃんが「ユアシューズ」と言ってニューバランス1300を指差すではないか。あ、しまったしまった、こりゃうっかり八兵衛ですわ、エラいすんまへん、どうもありがとさんと取りに戻り、ようやく着席した。
わしことは昨日と全く同じもの、はイカグリル、グリークサラダチーズ抜き、ワイン500cc。
おねえちゃんは「昨日は風、今日は雨ね」と言って笑った。ワインを飲んで気が大きくなり、アップルパイとカプチーノを頼んでしまった。ギリシャ最高のコーヒーであった。パイも自家製らしく、ほかほかの上にクリームまで載っていた。「ありがとう」という言葉を教えて、店を出た。気持ちの良い店であった。店の人たちは食事をしだしている。
ロバくんなしではとても登れないので、昨日バイクで通った道を帰ることにした。しかし、酔った頭がガンガンするので、すぐに休憩する。海の向こうでは、雲の隙間からあふれる光のすじが刻々と変化し、向こうの端が光ったり、こっちの隙間が光ったりと、これもまた良しの景色が広がった。この道を歩いてると、最果ての町にやって来ましたという感じになって、何だか嬉しくなる。やっぱりあんなフィラなんかよりこっちのほうがよっぽどえいなー。
上の村に着くと、客引きのいないハイソな織物屋では布を買ってしまった。うまそーなお菓子屋もある。スーパーもある。レンタルームもある。ものは試しに値段を訊いてみようとレセプションに入ると、あれれ、さっきのタベルナで店の人と食事していたヒゲボーシのおっちゃんが座ってるではないか。
よく似ている人なのか、あの急な坂道を駆け上ってきたのか(超人だ)。とにかくまあ訊いてみた。1晩8000。安い。こないだのなんか24000だったのに。やっぱり次からは(っていつや?)こっちの村に限るな。ありがとうと言って出てきた。
でっかいスーパーがあるので行ってみると閉まっていた。引き返す途中、もう1軒試しに訊いてみようと行くと10000だそうだ。おじさんは部屋を見たいかと言うので「見たい見たい」と見せてもらった。
今にも転げ落ちそうな絶景の階段を降りて案内された部屋は新しく、テラス、キッチン、ガス、ナベカマ何でもござれの部屋だった。おおこれぞギリシャだ!と思わず転びそうになったが、いちおう名刺をもらって、電話するかもしれんと言いつつ、さっき訊いた8000の部屋も見せてもらうことにした。

布を買って
女の人の七不思議の一つ。布とか篭とか宝石とかを集めたがるのはには理解できないのだ。
カメラやバイク、プラモを集めたがるのを女性は理解できんのだろうがな。

イアの村のタベルナと部屋の名刺
タベルナと部屋の名刺
よっぽど気に入ったのか、タベルナの名刺は2枚ももらっていた。

そのレセプションには、さっきもらったタベルナのカードが置いてあったので、ヒゲボーシのおっちゃんは同一人物であることが判明した。金髪のねーちゃんに連れて行かれ、おばさんにタッチ交代。見せてもらったステューディオは全部揃ってかなり広い。ちょっと薄暗いけど、これまたえーやんな感じであった。これで8000?と訊くと10000だそうだ。やっぱしそーか。
8000のほうを見せてもらうと、狭いし冷蔵庫もない。2000の違いでかなりの違いだ。おばさんは4日間泊まるなら、さっきの10000の部屋を1日9000にするよ、ピークだったらこんなもんじゃないのよと言うので、ええい南無三ナムサンと明日から4日間の予約をしてしまった。このおばさんがここのボスだそうだ。金髪ねーちゃんに予約金9000を払って急な階段を上った。
本当は明日から違う島に行く予定だったけど、コロっと変わってしまった。近所のスーパーもマジメやし、このほうが面白いぜ、これが旅の醍醐味っちゅうもんやで、と思ってたら道に迷ってしまった。
シグノーミと言って、家のベランダでワイン飲んでるオトーサンにバス停を訊くと親切に教えてくれた。8時50分に出るはずなのに9時5分に出発したバスに乗って帰ってきた。スーパーで買った水を冷やそうと共同冷蔵庫を開けたら、一口も飲んでなかった高いジュースを飲まれていた。これだからカンコーチはと思いつつ、『他人の物を勝手に飲んだらアカンよ、メッ』と貼り紙してやった。やれやれ。

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