10分前

福井

さあ、いよいよラストスパートです。まずは半分ほどを噛み割っています。あっ、おつゆがチュッと飛び出てしまいました。

服部

橋本にも似合わない食べ方ですねー。小龍包はまるごと口に放り込む。そして、口の中で皮とおつゆのハーモニーを楽しむ。これが定石です。

福井

おー、今度はまるごと放り込んでいます。続けざまに針生姜も放り込んでいます。

服部

この針生姜がね、なかなかいい効果をもたらすんですよ。口の中をさっぱりしてくれて、いくらでも小龍包をたべさせてくれるんですよ。中国三千年の歴史を感じさせてくれますね。

福井

それは四千年ではないでしょうか。しかしやはり、天性の勘でしょうか、この橋本、おいしい食べ方の追及には余念がありません。さすが学習する食いしん坊と異名をとるだけのことはあります・・・さあ、加速度的に食べ出しましたー。

服部

この早くいろんなものを食べるというのがまた、いろんな味の組み合わせを生みだし、時には黄金の組み合わせを発見することができるんですよ。橋本のよく言っている、豆漿油條の組み合わせも、あれは同時に食べてこそ、価値のあると言いますか、ほんとにおいしい食べ方なんですよ。

5分前

福井

さあ、ほとんどのものを食べ尽くし、残すは例の赤豆ナントカのみであります。おっと、茶碗をさりげなくテーブルの端に押しやりました。お茶のおかわりを要求しているのでありましょうかー、服部さん、意外とこの赤豆は蒸したもののわりには、見ていると、もちもちした印象を我々に与えますがー。

服部

そうですねー、もち米を使っているんでしょうねー、もしかしたら、あのスンのデンブ的な要素がそうさせているのかもしれませんねえ。

1分前

福井

思うつぼ、思うつぼであります。小姐がお茶を注ぎにきてくれましたー、橋本は礼を言って、余裕の表情でパクついております。モチっとしたものは大丈夫なのでしょうかー、最近作りたてのさし歯はひっついてしまわないのでしょうかー。

服部

あれはねえ、こまるんですよー。ホントずっと自分の歯で食べたいもんですよね。

3

2

1

ダーン!

福井

試合終了のゴングが今鳴りましたー。