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 朝めしはココアにしてみたけどまずかった。カリメーラ・サス。
 アクロポリスの丘の近所に上る。途中はフツーの人々の家々や曲がり角がギリシャしているので、気分はフォトグラファーである。今日はカメラ持ってるのでパチパチを始める。アクロポリスの丘に、ちょっと見下ろされている。大理石の岩がごろごろしている見晴らしのよい丘に上ってみる。ぼーとしてると後から「ヘイ、ボーイ。写真とってくれねぇか」と言う声。
 振り返ると年のころなら同じくらいのアベックが立っていた。
 「ふうむ、ボーイですか?この私が?」

いたる所でネコを見かける。犬も見かけるが、ほとんどの場合、でれ〜っと寝そべっていることが多い。

どうやらボーイというのは「少年」という意味ではなく、呼び掛ける慣用句(枕言葉?)みたいなものらしい。'05.4.3

 不審にも思えるが、悪い気はしないので「ようがす。とりやしょう」とカメラを受け取る。
 「あ、バカチョンだから押すだけでOK、ヒモを首にかけてハイ」と注意事項を受けると、構える間もなくチュッチュとやりだす。うーん、このシーンを撮ってくれということか?数日前のアメリカの農協おじさん達を中国系の人が撮るシーンを真似することにした。「ワン、ツー」とかけ声を発すると、人並みにチュッチュを中止して、ちゃぁんとポーズを決めた上うまい具合に笑顔を作るから恐れ入った。カリメーラ・サス。

ΨΨΨ

 ひさしぶりに絵を描いているとイタリア人っぽいおねえちゃんが近所に来てじーっと立っている。見られてるんかいな、いややなーと筆を止めていると「そこで写真を撮りたいの。すみませんけどジャスト・ワン・ミニツあちらに移動して下さらない?」と言ってきた。見上げるとパンツが見えたので悪い気はしない。「ようがす。動きやしょう」と移動してあげた。そのダンナもしくは彼氏は日本人のようにカメラやビデオをぶら下げて構えるけれど、おねえちゃんに「きれいに撮らないと結婚してあげないわよ」とかなんとか言われているのか、なかなか撮ろうとしないでいた。ようやっとのことで撮り終っても、おねえちゃんはツンと向こうを向いているが、ダンナもしくは彼氏はこちらまでやってきて「サンキュー・ベリー・マッチ」とご丁寧に挨拶をしてくれる。こちらもお返しに「プレーゴ」と返礼した。カリメーラ・サス。

アクロポリスの丘のちょっと下からアテネ市街を見るの図。向こうに見えるのは何とかという遺跡だそうだ。

 アクロポリスの丘の下で爪をつんだ。ギリシャの大地に吾が分身が舞う。カリメーラ・サス。

ΨΨΨ

 今日もまた市場でメシを食おうと丘を下りると、小学校がこんな観光地にも当たり前のようにあった。下校時刻らしく男子たちが「エナ、ディオ、トリス」とかけ声をかけている。何事かと観察していると、お立ち台に登った眼鏡少年が「オェオェオオー」と鶏の鳴き真似をした。女子の方はというと「やーねー」とか何とかぺちゃくちゃしている。カリメーラ・サス。

ΨΨΨ

アムステビール
ギリシャじゅう、どこのタベルナに入っても、このビールを置いてある。あと見かけるのは、ハイネケンビールくらいだけれど、アムステっていうことはアムステルダムのことなのか、勝手にオランダ製だと思い込んでいる。

 店内に入ると昨日と同じ配置でおじさんたちは待ち受けていた。この店の名物料理と思われる肉のシチュー(昨日も今日も殆どの人がこれを注文している)、昨日のお気に入りポテト(どうも本来はチキンの添え物らしい。落ち着いて食ってみるとレモンの味がたっぷりついていることが発覚)、そしてスタフド・トマト&ピーマンを指差し、着席してからアムステビール(オランダ産か?)中瓶くらいのを1本注文した。しめて2150ΔPX. シチューはスープと言うよりも肉の煮込みに汁をかけただけと言った方がよいくらい肉だらけだ。これが普通の肉だったらよかったのだけれど、食ってみると実は肉というよりも内蔵系らしく、どうも生臭くていけません。そこで一計を案じた私は指をパチンと鳴らしおっちゃんを呼び、レモンを持ってきてもらうことに成功した。なぜなら昨日、向かいに座っていた親父がそうやっていたのを目撃していたからだ。今日試したスタフドトマトの方が昨日のピーマンよりも、よりうまいしポテトはやはり絶品だ。しかしながらレモンがけ作戦を敢行したもののシチューはどうにも攻略できない。恥ずかしながらついに具を残してしまいました。参りました。どうもすみません。カリメーラ・サス。

 出てきて口直しにアイスクリームを買った。かなりのデカさで270ΔPX. うーん、んまい。
 ミニマーケット(入る時さりげなくカリメーラと言うとカリメーラと応えが返ってきたのでちょっと嬉しい)で水とヨーグルトを買った。水120、ヨーグルト170ΔPX. ヨーグルトはイマイチだった。カリメーラ・サス。

市場を歩く牧師さんだか神父さん。けっこう見かける。ネコほどじゃないけど。

ΨΨΨ

 「あー、これこれ、そこの若い衆」と呼び止められた(と思う)。スブラキ屋の前だった。「あー、さぁてお立ち会い、こちらのスブラキはうまいぞよ。食べてゆかぬか。ほれ、ほれ。近う寄らっしゃい、ほれ、ほれ」と云うフゼイで手招きをする親父。イカにもな塩辛声、堂に入った身ぶり、なかなかの見ごたえだ。メシ前なら思わず買っていただろうが、イカンセン満腹状態だから口車に乗ることはできない。このシーンをカメラに収められたら、さぞかしの物だったろうと悔やまれた。カリメーラ・サス。

ΨΨΨ

 ホテルに戻ると、ジャン・ピエル・レオは受話器を耳にあてながら鍵を差し出して待ち受けていた。まだ姿も見えてなかったハズなのに…お前は忍者か?カリメーラ・サス。

ΨΨΨ

 またもや昼寝をしてしまい夕方8時半ごろから外に出る。『コレハコレハ』おじさんのスブラキ屋でポークのスブラキ2本を買ってみる。550ΔPX. ナンタラ大聖堂の前でパクつく。ミッコネンの店には負けるが一応うまい。やっぱりこれは好みの食いもんですな。キオスクで100%オレンジジュースを買う150ΔPX. つぶつぶが残っている感じで、日本の100%もんともつぶつぶオレンジとも違う、けっこうよいお味だ。カリメーラ・サス。

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 リカベットスの丘と云う所に向かって連行されたが、途中でしんどくなって引き返す。帰りにウエンディーズに入ったら、土地の寂しそうなお爺さんが一人ぽつねんと座っていたり、グループを組んで静かに食べていたりするのが目立つ。日本のファーストフード店とは明らかに違って見える。実は寂しい国なのかと少し心配になった。少しすると、余計なお節介じゃと言わんばかりに大量の若者が傾れ込み、一気に騒がしくなる。これでようやく落ち着いた。カリメーラ・サス。

(c)1995-2002 HaoHao

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